秘密基地

いつものようにインスタグラムのタイムラインをすらすらと眺めていた。「ジィジの力作」という文字が目に入り何だろうと複数枚ある写真をスワイプしていくと、それは、ジィジが孫のためにカラフルな色で塗り、段ボールを組み合わせて作られた秘密基地のことだった。ふと思い出した、わたしが秘密基地ごっこが大好きだったことを。幼いときは覚えてないが、少なくとも小学生2年生くらいまでは家の中で毛布や椅子を駆使し、テントをつくって、その中で友達と過ごす。そんな遊びをしていた。秘密基地の中で何をしていただろう、多分、「伊東家の食卓」の本を読んだり、心理テストの本で遊んだり、ただ、そのちいさな空間の中で 静かに過ごしていたと思う。自分の家でもしたし、長い夏休みや冬休みに祖父母の家に帰れば、いとこたちと一緒に秘密基地を作ってその空間の中で過ごしていた。部屋の中で秘密基地をつくることはよくあったけれど、屋外で作ったことはあまりなかった気がする。あ、でも、あったかも…公園か幼稚園の敷地内かどこか…ディズニー映画に出てきそうな いい感じのくぼみのある木だとか…どうにも記憶が戻ってこない。久しぶりに、幼少期の記憶を辿った気がした。今は、今のことだとか 将来のことだとかを 考えることでいっぱいいっぱいだ。過去に目を向けることは、あまりしなくなった。それでも、こうやって 今 の中にもたくさん過去を連れてくる景色やものやにおいや音がたくさんあるのだ。そのときは少し立ち止まって、記憶を連れ出していこう。